2007年10月21日

富山の冤罪事件(氷見事件)の弁護のあり方について

 先日の記事で富山の再審無罪になった冤罪事件について、橋下弁護士(大阪弁護士会)が「杜撰な弁護活動」と批判していた事について触れましたが、当該事件についての元被告人の方のコメントが記事になっていたので以下に転載します。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071013i114.htm?from=navrより転載(なお、元被告人の氏名・年齢に関する部分は引用者において▲▲として伏せることにします。元被告人は公人ではなく、また冤罪の被害を受けられた方であるからマスコミが公表していてもそのまま引用することは不適切と判断しました。)
「国選弁護人、何もせず」富山冤罪の日弁連調査で▲▲さん
 富山県氷見市の冤罪(えんざい)事件で、日本弁護士連合会は13日、婦女暴行・未遂容疑で誤認逮捕され、無罪判決を受けた元タクシー運転手▲▲▲さん(▲▲)から、逮捕当時の弁護活動などに関する聞き取り調査を公開で行った。

 ▲▲さんは「国選弁護人は何もしてくれなかった」と批判した。

 ▲▲さんは、2002年4月の逮捕直後に行われた1回目の接見について、「弁護士なら助けてくれると思い容疑を否認した。『調査する』と言ってくれたが、その後、何の連絡もなく、次の接見では被害者2人に被害弁償金を支払うよう勧められた」と明かした。「接見は2回でいずれも10分程度だった」とし、消極的な弁護のあり方を非難した。
 県警の捜査については、取調官に脅された経験を話し、「(冤罪事件をなくすには)検察だけでなく警察の取り調べも録画するべきだ」と主張した。
 日弁連は、当時の国選弁護人から、今月下旬にも聞き取り調査をする予定で、年内にも調査報告書を公表する。
(2007年10月13日22時30分 読売新聞)


 検察段階だけでなく警察段階から(当然任意同行の過程から)録音・録画する必要があるということには全く同意できます。
本件の弁護人の活動についてですが、接見が2回でいずれも10分というのが事実であれば、いくら地方であったとしても被疑者との意思疎通が不十分すぎるといわざるを得ないでしょう。
 ただ、私はこの事件の詳細を記録等を見て知っているわけではないのですが、この事件では国選弁護人が無罪主張をすることは極めて困難であった可能性があったと思います。日本の刑事裁判においては、公判前に検察官から弁護人に対して開示される証拠は原則的に検察官が裁判所に対して証拠請求するものだけです。被疑者が当初は無実を訴えたことがあったにせよ、自白に転じてしまっていたようですので、弁護人としては検察が開示した記録だけを読んで「こういうことか」と納得して弁護活動を行っていたのではないでしょうか。報道では、再審無罪になった方が履いておられた靴と、現場の足跡が異なることはすぐに判明できた筈だと言われていますが、それはあくまでも今になってから言えることで、当初の開示記録だけからそのようなことが言えるのか、検討される必要があると思います。
posted by 一法律学徒 at 01:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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