2008年01月04日

法科大学院入試・新司法試験用推奨参考書民法(財産法中心)

後輩から、「基本書の選び方が分からない」「予備校本だけでよいのか」という質問を受けて、「どんな本を使っているの」と聞いたところ、いわゆる体系書は一冊も読んだことがない、あるいは課題を課せらるたびに場当たり的に本を読んでいるというような答えが返ってきて、驚いたことがありました。
 法科大学院入試受験生や、新司法試験を目指している法科大学院生であれば、法律実務家の登用試験を目指しているわけですから、やはりそれなりの学者の著作を、じっくりと時間をかけて読破することが必要なのではないでしょうか。今後は、こちらの記事で私が良いと思った参考書(基本書・判例集など)を紹介していくことにします。
 基本書一般について、私が選ぶ際に基準にしている事は以下の通りです。
○定評のある学者の著作であること:誰が書いているのか分からない ような本が予備校本の中にはありますが、そのようなものの中には アルバイトの受験生(合格者ですらない!!)に体系書を切り貼り させたようなものもあるそうです。そのようなものもあるそうなの で、信頼を置いて勉強する本には著名な学者(司法試験考査委員な ど)が書いたきちんとした物を選んだ方がよいでしょう。もちろ  ん、予備校教材を全面的に否定するわけではありません。
○出版年あるいは改訂年度ができるだけ新しいものであること:最近 は法改正が激しく、また出たばかりの重要判例もすぐ試験の素材に なっているようですので、初版があまりにも古く、かつ改訂されて いないような本を基軸に据えるのはやめた方がよいでしょう。もち ろんそのような本であっても学術的な価値が高いものはあるので、 部分的に参照することはありうることですが。
○ある程度の厚みがあるものであること(これは科目の特性にもより ますが):基軸に据える本は、ある程度詳細な記述がある方が最初 に読むにはシンドイかもしれませんが、後になってしっかりとした 理解が身に付くことになります。薄い本では行間を読まねばならな い事があるので、かえって理解しにくいことがあります。

 では、さっそく私が推奨できる民法の基本書を紹介することにします。
大村敦志著 基本民法T〜V 有斐閣






 東京大学の大村先生の基本民法シリーズは、基本的な枠組みを押させるのに良いと思います。章ごとにまとめや重要なキーワードのフレーズがついているので、初学者が読む際の足ががりとなります。この本程度を押さえてから、いわゆる内田民法(内田貴先生の民法1〜4)に入る方がよいのではないでしょうか。









 民法全体を手早く見渡せる本としては、最近京都大学の潮見先生がお書きになられた本があります。その他に、以下のようなものもあります。









 判例集については、民法判例百選が有名ですが、体系的に網羅されているのは次のものが良いと思います。







民法判例百選へのリンクも貼っておきます。







なお、判例のエッセンスだけをコンパクトに押さえているものとしては、以下のものがお薦めです。



 なお、実務で今なお愛用されているのは、戦後民法の神様と言われた我妻榮博士の民法講義(通称「我妻講義」)ですが、長らく改訂されていないので、最近の法改正や判例はフォローしていません。が、古典的名著なので、図書館等で参照されると良いと思います。












これらは実務家になったら必携だそうです。
この我妻講義のエッセンスを凝縮したコンメンタールが「我妻・有泉コンメンタール民法」です。こちらは近年の法改正に対応しているので、受験生が利用するのには便利です(少し高いかもしれませんが、それだけの値打ちはあると思います)。



「我妻説」を初学者むけに実況中継形式で書いたものが「民法案内」です。こちらも我妻博士亡き後お弟子さんの先生が補訂しておられるので、近年の法改正にも対応しています。民法に苦手意識を有している方はこちらを「読み物」として読むのが良いかもしれません。













「我妻講義」をコンパクトにしたものとしては、いわゆる「ダットサン民法」といわれるシリーズがあります。こちらも近年の法改正に対応しています。大村敦志先生の「基本民法」と同様のレベルですが、通説的見解を押さえるにはこちらの方がよいかもしれません。







家族法については、こちらで挙げた本の他に、また別の機会に紹介したいと思います。




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